小説『方舟』書評|結末後にもう一度読みたくなる、救いのないミステリー

小説「方舟」の書評ブログタイトル 趣味・余暇

※この記事には物語の核心に触れる内容が含まれます

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この小説を読もうと思ったきっかけは、
「東大生が選ぶおすすめのミステリー小説」として紹介されていたのを、妻から勧められたことでした。
テレビか何かで特集されていたらしく、「これ、評判いいらしいよ」と。

正直、タイトルだけ見ると少し重たそうで、
ミステリー好きじゃない人には取っつきにくい印象もありましたが、
読み終えた今では、かなり記憶に残る一冊になりました。


地下の密室のイメージ画像

あらすじ(ネタバレなし)

舞台は、極限状態に置かれた閉鎖空間。
限られた人間、限られた時間、限られた選択肢。

この物語では、
「全員が助かるルートは存在しない」
という前提のもとで、人間同士の判断と選択が描かれていきます。

タイトルの「方舟」が示す通り、
守るための場所でありながら、
同時に誰を残し、誰を切り捨てるのかを決めなければならない場所でもあります。


読み始めて感じた正直な印象

読み始めて最初に感じたのは、
「説明が少し多いかも?」ということでした。

特に、方舟の中の構造や仕組みについての説明は、
小説を読み慣れていない人だと、
ここで脱落してしまう可能性もあるポイントだと思います。

ただ、個人的には
「ふーん、そういう感じなんだ」
くらいの感覚で読み進めても、物語を追ううえで大きな支障はありませんでした。

この序盤さえ越えれば、あとは一気に引き込まれます。


少しネタバレあり|読み終えて一番考えさせられたこと

森の中に方舟の施設があるイメージの画像

この作品で一番印象に残ったのは、
犯人の動機が、いわゆる怨恨や復讐ではない点です。

あらかじめ事件を起こそうとしていたわけでもない。
ただ、
恐ろしいほど頭の回転が早く、誰にも気づかれないうちに「どうすれば自分が助かるか」を思いついてしまった。
そして、その方法を、躊躇なく実行した。

自分本位と言えば、確かにそうです。
でもこの物語では、
「誰かがその役目を引き受けなければならない状況」
が用意されているからこそ、単純に切り捨てられない怖さがあります。

もし自分だったらどうするのか。
正解がない問いを、突きつけられている感覚でした。


「もう一度読みたくなる」小説

あとがきにも書かれていましたが、
この小説は結末が分かったあとに、もう一度読みたくなるタイプの作品だと思います。

自分はまだ一周しかしていませんが、
もう一度読めば、確実に違う人物、違う視点で物語を追うことになる。
それが容易に想像できました。

ミステリーとしての仕掛けだけでなく、
構造そのものが、再読に耐えるよう作られている印象です。


エピローグについて

衝撃という意味では、
エピローグがすべてと言ってもいいかもしれません。

確かに、救いはありません。
読後にスッキリするタイプの作品ではないです。

でも、その「救いのなさ」こそが、
この物語を強く印象づけている理由だと思います。


こんな人におすすめ

  • ミステリーが好きだけど、たまには重たい作品も読みたい人
  • 善悪がはっきりしない物語が好きな人
  • 読み終わったあと、しばらく考えてしまう本を探している人

逆に、
気持ちよくスッキリ終わりたいときには、あまり向かないかもしれません。


まとめ

『小説の方舟』は、
読み終えた瞬間よりも、
読み終えたあとにじわじわ効いてくる小説でした。

最後まで読んで、
「もし自分があの場にいたらどうしただろうか」
そんな問いが、しばらく頭から離れません。

強烈な読書体験を求めている人には、
間違いなくおすすめできる一冊です。

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